ベインキャピタルによる廣済堂のTOBは南青山不動産による対抗TOBで予断を許さなくなっています。
廣済堂のValuationやストラクチャーを公開買付届出書から読み解いていきたいと思います。
■ 廣済堂の基礎数値
減価償却が営業利益とほぼ同額あるためEIBTDAは40億円を超えてきます。
借入や社債があるためNet Debtは50億円ですが、ヤクルトや学研等の投資有価証券を保有しているため、これを考慮した修正Net Debtは169億円のマイナスです。
■ Valuation
TOB価格を700円にアップさせたものの、EV/EBITDAマルチプルは5.0xと他のバイアウト案件に比べれば低いマルチプルです。
PBRも1倍を大きく下回っています。
■ ストラクチャー
買付主体はBCJ-34で、ローン・メザニン・エクイティで調達予定です。
三井住友銀行がBCJ-34に融資を行い、BCJ-33がBCJ-34に出資を行います。
BCJ-33の親会社に対してベインのファンド(BC ASIA Ⅲ)がエクイティ投資を、トラストキャピタル及びファイブスターがメザニン投資を行うストラクチャーです。
したがってBCJ-33からBCJ-34への投資は基本的にエクイティとして行われ、その裏で調達されたエクイティとメザニンはBCJ-34の財務諸表には計上されないことになります。
公開買付届出書によるとBCJ-34の親会社はいくつもの階層になっているので、このストラクチャーは別の機会にまとめようと思います。
タームAが分割7年、タームBが一括7年、タームCが一括3年です。
資金使途に比べて調達額が大きいためタームCはブリッジ的なものなのかもしれません。
■ トランザクションフロー
廣済堂の有価証券報告書を見ると毎期30~40億円の営業CFが生まれています。
分割弁済のタームAは毎期10億円弱の返済ピッチ(67億円/7年)であり、CFに余裕のあるストラクチャーと考えられます。